人を第一に考える姿勢が、NTT DATAでのOkta導入の決め手に
NTT DATAはグローバルに事業とITサービスを提供していますが、同社が真に注力しているのはデータだけでなく「人」です。最高情報責任者のBarry Shurkey氏は「テクノロジーは人・技術・プロセスの3つに依存しています。人に投資すれば、技術とプロセスは必ずついてきます。NTT DATAはその『人への投資』に大変力を入れています」と語っています。
14万人の従業員を抱え、積極的な拡大を進めている同社にとって、その姿勢を維持することは決して容易ではありません。2016年のDell Servicesとの大規模な合併を経て、Shurkey氏はM&Aプロセスの簡素化を図ることでNTT DATAの従業員の負担を軽減すると同時に、セキュリティ戦略の近代化を進める決断を下しました。
2017年には、新たに最高情報セキュリティ責任者に就任したSteve Williams氏がゼロトラスト・セキュリティ戦略を策定しました。同氏のチームはOktaと協力し、不可欠なアイデンティティの要素を提供するとともに、NTT DATAの従業員とお客様に焦点を当て続ける体制を支援しました。
Okta Workforce Identityを活用することで、チームは標準化された自動プロセスを確立し、よりシンプルかつ迅速な合併統合を実現しました。Oktaの機能と接続性は、NTT DATAがゼロトラスト成熟度モデルにおいて大きな前進を遂げる助けとなり、急成長を続ける同社における従業員とお客様のデータを守っています。
失われた時間を取り戻し、新たなセキュリティ基準に適応
Williams氏がNTT DATAに加わったのは、Dellとの合併直後のことでした。同氏は「迅速な統合、プロセスの簡素化、摩擦の削減を図り、自社の人材、特に新しく買収した事業から加わった従業員が最大限に生産性を発揮できるように支援する方法が必要でした」と語ります。
それはM&Aだけの問題ではありませんでした。Williams氏のチームが生産性に関する調査を行ったところ、従業員がアプリケーションへのログインに1日平均17分を費やしていることが判明しました。「14万人規模で考えると、お客様に費やせたはずの時間が大量に失われていることになります」と同氏は説明します。
顧客先での常駐勤務や自宅からの業務など、多くの従業員がリモートで働くようになり、新しい働き方の現実において、ゼロトラストこそが理にかなったセキュリティの枠組みでした。Williams氏は、NTT DATAの「お客様第一」「コミュニティ重視」という姿勢を維持するため、アイデンティティを中心に据えたゼロトラスト戦略に取り組みました。
アイデンティティ主導で進めるM&Aの簡素化
NTT DATAのチームにとって、アイデンティティ・パートナーを見つける際、求めていたものは明確でした。特定のプラットフォームやツールに縛られるのではなく、最適なソフトウェアやサービスを自由に選択できるようにするため、アイデンティティの「抽象化レイヤー」を構築することでした。
複数のベンダーを比較検討した結果、チームが選んだのはOktaでした。ベンダーに依存しないアプローチ、アイデンティティ分野におけるリーダーシップ、そしてトップクラスのCustomer Firstチームが選定の決め手となりました。NTT DATAとOktaは協力して、一貫したアイデンティティ標準を軸に全社を統合する導入計画を策定しました。
9つの重要なアプリケーションをOkta Workforce Identityに統合し、14万人の従業員に向けて展開するのにわずか2か月しかかかりませんでした。Williams氏は「これほど速く進められたのは、OktaのCustomer Firstチームの支援が大きな要因でした。ようやく本当に1回のログインで済むようになり、1日に6回も認証情報を入力する必要がなくなったのです」と語ります。
チームはOkta Lifecycle ManagementをOffice 365と統合し、アイデンティティ作成の複雑さを解消しました。また、Okta Workflowsを活用してM&Aプロセスの自動化を進めました。
Salesforceを管理するITシニアディレクターのKristen Jensen氏は、Okta導入前を振り返り、チームがパスワードのリセットに多くの時間を費やしていたと語ります。「営業担当者がイライラするような状況を望む人はいません。今では、OktaがMicrosoft Active Directoryのグループから情報を取得し、自動的にシングルサインオンを有効化してくれます。1つのIDと1つのパスワードで済むようになり、皆の業務が楽になりました」。
合併統合を合理化するために、Williams氏のチームはハブアンドスポーク・モデルを採用しました。Okta上の中央ハブがアイデンティティを作成・保管し、そこから分岐するスポークがNTT DATAの900を超える子会社を表します。新しい事業が統合されると、中央ハブが各従業員に一意のログインIDを自動的に割り当て、それを対応するスポークにプッシュします。各スポークは自社の技術選択を維持しながらも、従業員IDは全社で一貫して一意な状態が保たれます。
このハブアンドスポーク・モデルにより、合併プロセスはより迅速かつ円滑になり、NTT DATAは柔軟性と適応力を維持できます。Oktaは橋渡し役となり、買収先の組織が既存の技術スタックを維持しつつ、業務の中断を最小限に抑え、初日からNTT DATA全体とシームレスに協働できるよう支援します。
信頼できるパートナーとの連携で、ゼロトラストを現実のものに
OktaはNTT DATAのゼロトラストへの取り組みにおいても基盤的な役割を果たしています。プロセスを簡素化し、アイデンティティを全体的かつグローバルな視点で捉えたセキュリティ・アプローチを採用することで、NTT DATAは全社的なリスクを大幅に低減しました。
「Oktaは、特にゼロトラスト領域において当社にとってかけがえのないパートナーです」とWilliams氏は語ります。7,000を超えるアプリケーションとの高度な統合により、OktaのインスタンスをCrowdStrike、Proofpoint、Taniumといった信頼できるセキュリティ・パートナーと連携させることができます。
同氏はさらに「セキュリティに関する知見を結集することで、『イエスかノーか』だけの単純なセキュリティから、『条件付きのイエス』という中間的なアプローチへと移行できます。複数の信頼できるパートナーとともに、こうした条件付きの仕組みを備えることにより、ゼロトラストを実現できるのです」と説明します。
人を中心に据えた積極的な成長
この取り組み全体を通じて、 Customer Firstは不可欠な役割を果たしてきました。「最初のストーリーボード作成から、さまざまなシナリオの検討、そして現在も続けている改善に至るまで、Customer Firstチームは当社の成功に大きく貢献してくれています」とWilliams氏は語ります。この支援は、トレーニングを通じてNTT DATAの従業員が能力を伸ばし、力を発揮できるよう後押しする取り組みにまで及びます。Williams氏はさらに「Oktaのトレーニングおよび認定プログラムは、Okta製品を確実に理解してもらおうという同社の強いコミットメントを示しています。また、このプログラムは、今日の非常に厳しい環境下で優秀なセキュリティ人材を惹きつけ、定着させる助けにもなっています」と述べています。
Oktaを活用することで、NTT DATAはテクノロジー活用の中心に常に人を据えながら、成長軌道を維持し続けることができます。Williams氏は「Oktaはスタック全体を通じて『One NTT』のエクスペリエンスを提供してくれます。従業員がずっとスムーズに仕事を進められるようになりました。場所、業務内容、利用デバイスが何であっても、利用体験は変わりません」と語ります。
M&Aについて、Shurkey氏は、これほど良い状況はかつてなかったと語ります。「Oktaには、買収後の統合を支援するソリューションが組み込まれています。必要なアイデンティティ・プロセスが整っているので、スケジュールを自信を持って保証できるのです」。
NTT DATAについて
NTT DATAは、300億ドル規模の信頼されるグローバルなビジネスおよびテクノロジーサービスのイノベーターです。Fortune Global 100企業の75%にサービスを提供しており、お客様の長期的な成功に向けたイノベーション、最適化、変革を支援しています。グローバル・トップ・エンプロイヤーとして、50か国以上に専門家を擁し、既存企業からスタートアップに至るまで幅広い企業との強固なパートナー・エコシステムを構築しています。提供サービスは、ビジネスおよびテクノロジー・コンサルティング、データとAI、業界別ソリューションに加え、アプリケーション、インフラストラクチャ、コネクティビティの開発・導入・運用管理にまで及びます。また、世界有数のデジタルおよびAIインフラストラクチャのプロバイダーでもあります。NTT DATAはNTTグループの一員として、毎年36億ドル以上を研究開発に投資し、企業や社会が安心かつ持続的にデジタルの未来へ踏み出せるよう支援しています。