AIが重要なタスクの自動化に利用されるようになる中で、管理不十分なAIエージェントが企業ネットワークを横断し、機密情報にアクセスする可能性は、あらゆるCIO(最高情報責任者)やCISO(最高情報セキュリティ責任者)が警戒すべき事態です。
AIエージェントのリスクプロファイルは、他の非人間(マシン)アイデンティティとは異なります。AIエージェントはより強力な権限を持っており、常に稼働可能で、自律的な意思決定を行い、複数の権限を連鎖させて重要な情報にアクセスする能力を秘めています。こうした要因こそが、特権アクセス管理(PAM)戦略にAIエージェントを統合しなければならない明確な理由です。
OktaのグループプロダクトマネージャーであるJason Fehrenbachは次のように述べています。「AIエージェントは、特権を持つマシンアイデンティティとして扱う必要があります。彼らはマシン特有のスピードで動作し、機密データにアクセスし、影響力の大きな意思決定を下すことができるからです」
Oktaの調査レポート「AI at Work 2025」によると、回答者の78%が、2025年における非人間アイデンティティ(NHI)に関連する最も差し迫ったセキュリティ懸念として「アクセスと権限の制御」を挙げました。また、69%が、アカウントの作成から停止に至る「NHIのライフサイクル管理」に言及しています。
明るい兆しもあります。経営層はAI導入においてアイデンティティとアクセス管理(IAM)が果たすべき役割を理解しており、85%がAIの導入と統合を成功させるためにIAMが「非常に重要」または「重要」であると考えています。しかし、この統計とは裏腹に、多くの組織では「すべてのエージェントがどこにあり、何をしていて、どのようなアクセス権限を持っているか」を包括的に把握できていない、と指摘します。
「AIエージェントへのPAM導入を阻む大きな壁の一つが、エージェントの乱立(スプロール)です。自律型エージェントが急速にデプロイされることで、クラウド環境全体で管理の行き届かない特権アイデンティティやシークレットが増殖しています。企業には、すべてのエージェントを継続的に発見・棚卸しする自動化ツールが必要です。その上でPAMを活用し、機密リソースにアクセスするエージェントに対して一元化されたシークレット管理を徹底しなければなりません」
Fehrenbachは、PAMの主要な制御機能はリスクの抑制とインフラ全体の特権アカウントの可視化に不可欠であると付け加え、「最小権限アクセス」と「ジャストインタイム(JIT)アクセス」が、リスクを制御し、攻撃を受けた際の被害範囲(ブラスト・ラジアス)を最小限に抑えるために不可欠であると説いています。
JITは「常時付与されている権限」を排除し、組織が必要に応じて時間制限付きのアクセスを許可できるようにするものです。これにより、権限昇格やラテラルムーブメントのリスクが低減され、攻撃者が機密データやアプリケーションを侵害するためのハードルを押し上げることができます。
また、PAMは安全でないコーディング慣行によって生じるリスクの解決策にもなります。残念ながら、スピードを優先するあまり、一部の開発者は依然としてAPIキーやアクセストークン、データベースのパスワードをAIエージェントのソースコードや設定ファイルに直接ハードコード(直書き)しています。もしハードコードされた認証情報を持つエージェントが攻撃者に侵害されれば、その常設権限を悪用してミッションクリティカルなデータにアクセスされ、ネットワーク内に潜伏され続ける恐れがあります。
「開発者は、シークレットをコードから切り離すことが求められます。そのためには、PAMソリューションの統合ポイント(SDKやAPI)を活用し、実行時に動的に認証情報を注入するようにすべきです」とFehrenbachは助言します。「もう一つのヒントは、Cross App Access(XAA)のような、この分野で急速に普及しつつある標準規格に注目することです。これは、エージェントとアプリケーション間の接続権限を個々のアプリから企業のアイデンティティ層へと移す規格であり、あらゆるAIエージェントのアクセスリクエストに対して、一元化されたポリシー適用と監査を可能にします」
AIの導入が進むにつれ、組織が必要とするガバナンス、行動監視、ポリシー適用において、PAMの機能が中心的な役割を果たすべきだと言います。
「今日の企業が保護すべき攻撃対象領域(アタックサーフェス)は拡大し続けており、デプロイされるすべてのAIエージェントがその一部となります。組織に求められているのは、IT環境全体のあらゆるタイプのアイデンティティを保護し、必要な強制力、監査性、監視機能を提供する統一されたアプローチです。PAMは、そのアイデンティティ・セキュリティ基盤における極めて重要なピースなのです」
OktaがどのようにAIエージェントの安全を確保しているか、詳細はこちら。