小売業界に人流・IoTセンサーデータ活用によるDX推進をもたらすため、TangerineがOktaの顧客ID管理を選んだ理由

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Tangerineは3万店にも及ぶ店舗の経営合理化を支援してきた

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実店舗での売り上げが90%近くを占める小売業界のDXを支援

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Oktaを活用し2ヶ月間でStore360 Insightsへの認証認可の実装を完了

  • 見えないデータの見える化を実現
  • 各店舗スタッフの権限に応じたアクセスの提供
  • データ分析に必要な世界最先端のBIツールとの連携
  • アイデンティティを中心とするビジネスフローの自動化
  • コアとなる開発に注力
見えないデータの見える化を実現

小売業界の現場で入店者の情報や店内行動の情報が集約されておらず、貴重なデータが販売支援や成長戦略の立案に役立てられていないケースが大半を占めているため、Store360 Insightによってこれまで見えていなかったデータの見える化を実現

各店舗スタッフの権限に応じたアクセスの提供

各店舗スタッフの権限に応じて、入店者情報に安全にアクセスできるようにするため、Single Sign-Onで認証を行い安全なアクセスを提供

データ分析に必要な世界最先端のBIツールとの連携

データ分析で連携が必要なBIツール向けのサンプルコードを提供するOktaの顧客ID管理の選択により、Store360 Insight上でBIツールとの連携を実現

アイデンティティを中心とするビジネスフローの自動化

ビジネスフローの自動化をノーコードで実現するOkta Workflowsを活用して、Store360 Insight、BIツール、Oktaとの連携を短期間で実現

コアとなる開発に注力

Oktaがデフォルトで提供するログイン画面やテンプレートを活用することで、注力すべきコア部分である業務ロジック設計・開発に集中

「Oktaを活用しながら企業の競争力を強化するリアル世界のDX推進のためのデータ経営基盤を創り出し、小売業界の戦略立案を『より開かれたもの』にする。それが真の狙いでした」

Tangerine株式会社 COO 島田崇史 氏

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Tangerine株式会社 COO 島田崇史 氏
 

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。この単語は今日のビジネス界において、最もホットなビジネス用語の1つになりました。しかし、この用語のコモディティ化が進み、本来の目的である企業の競争力強化をもたらすDXをデジタル技術の活用によって、いかに推進していくかが問われています。

2014年に設立されたTangerineは、小売業界においてDXを推進している企業です。同社は「リアルから始まる、新しい感動とビジネスを創る」というスローガンのもと、3万店にも及ぶ店舗の支援をしてきました。同社は豊富な実績を背景に、今年4月にはアプリ会員向けの来店施策サービスである「Store360 UX」、そしてOktaの顧客ID管理プラットフォームを組み込んだ店舗パフォーマンス分析サービス「Store360 Insight」の提供を開始。小売業界にさらに大きな変革をもたらしつつあります。

日本の小売業界が抱えていた構造的課題

同社がこれらのサービスを開発したのは、小売業界の構造的課題を解決するためでした。たしかに現在では、ほとんどの店舗にパソコンが設置してあります。また、IoTに対応したセンシング技術の開発が進んだことにより、入店者数を記録するカウンターや店内行動をトラッキングするカメラなどのデバイス、あるいはBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)と呼ばれる分析用のソフトウェアを導入する企業も徐々に増えてきました。しかし実際には、各デバイスから得られた情報が集約されておらず、貴重なデータが販売支援や成長戦略の立案に役立てられていないケースが大半を占めています。結果、成長著しいEコマースと対照的に、実店舗を軸とした小売業界はDXの分野で大きな伸び代がある状態でした。

Store360 Insightは、このような状況を改善するために生み出されました。Store360 Insightは、実店舗で起きている課題を見える化する人流・IoTセンサーのデータコラボレーションプラットフォームサービスです。店舗の店外通行客数の把握から入店されるお客様の人数をカウントする事で、今まで見えなかった入店率の把握や、売場毎のパフォーマンス分析が実現できます。さらに、ビーコンを活用したアプリ施策との連動により、今まで可視化できなかった店舗来店者中のアプリユーザー来店者数の可視化が可能になり、アプリユーザーの来店増加促進の分析に必要不可欠な機能を提供しています。

TangerineでCOOを務める島田崇史さんは、開発の目的を次のように解説します。「小売業は、オフラインの実店舗での売り上げが90%ぐらいを占める世界です。特にAIカメラ等のIoTセンサーや位置情報データの活躍により、店舗を軸とした『人流データ』の普及が進んで参りました。一方、リアル世界のDX浸透には組織の壁、ベンダー企業間の壁を超えたデータ融合による活用が課題です。我々が提供するプラットフォームは、まさにその部分をカバーするものです。複数のデバイスを連携させながらデータを収集し、天候やテレビ番組の影響まで加味しながらAIを活用しながらリアルタイムに解析を行う。そして分析結果を、わかりやすい形で現場の方々に提示していく。Store360 Insightがあれば、リアル世界のDX化に欠かせないビジネス要件/技術要件に跨るデータコラボレーションによる新しい価値創出を小売業界のデータ経営にもたらすことができると考えています」

Oktaの顧客ID管理が選ばれた理由

Store360 Insightの実現に向け、島田さんはきわめて早い段階でOktaの顧客ID管理導入に踏み切りました。その理由は明らかです。まず大量の来店者情報をリアルタイムに分析し、各スタッフの権限に応じて来店者情報に安全にアクセスできるようにするには、きめ細かな認証認可を行うことが必須条件となります。スタッフの利便性を確保する上では、Single Sign-Onで認証とID管理を簡便化し、快適かつ安全にアクセスできるようにする配慮も欠かせません。さらに複数のセンサーとSaaSを組み合わせていく際には、拡張性が高くスムーズにAPI連携できる機能も必要不可欠となります。Oktaの顧客ID管理は各種の条件を完璧に満たすだけでなく、豊富なSaaSサービスと連携でき、Store360 Insightに組み込まれる、データ分析に必要な世界最先端のBIツールにまで対応していました。

島田さんにとってはOktaの顧客ID管理が圧倒的な市場シェアを誇っており、豊富なノウハウが入手できる点も魅力でした。このような特徴は導入における時間やコストを圧縮しつつ、開発作業から属人的な要素を排除し、より合理的なシステムを構築するのにも寄与します。島田さんは「情報の豊富さと開発のしやすさ。そして安心感。あらゆる面において、Okta以外の選択肢はあり得ませんでした」と振り返ります。

開発作業を効率化する拡張性の高さ

Oktaの顧客ID管理導入にあたっては、Store360 Insightの開発をエンジニアリングの側面からサポートした、TC3の意向も反映されています。同社は2016年の設立以来、Topcoder(ソフトウェア開発のクラウドソーシングを手掛ける米国企業)の日本における唯一のプレミアパートナーとして、国内外の一流企業のDX推進に貢献し、高い評価を受けてきました。また、幾多のプロジェクトにおいて、Oktaを積極的に採用してきたことでも知られます。

代表取締役の須藤義人さんは、Oktaに信頼を寄せる理由をこう述べています。「我々はCIAM領域のエキスパートですが、Oktaは他社の顧客ID管理製品と比べてみても、圧倒的に優れています。セキュリティや権限付与を完璧に担保できるのは当然として、Okta Integration Networkにおいて様々なサービスとの連携が充実しているので、APIファーストな考え方で連携がやりやすい。たとえばOkta Workflowsを活用すると、『ローコード開発』でIDのプロビジョニングなども実践できる。システムを設計する作業であれ、プログラムを組んでいく作業であれ、GUIを使うと工程を一気に簡略化できます。開発において最も重要な『コア』の部分に関しては、自分たちの強みを活かしながら、最適なソリューションをじっくり作り込む。と同時に、他の『ノンコア』の領域に関しては、既存のサービスやツールを組み合わせて、効率よく作業を進めていく。Oktaなら、それが可能になるんです」

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TC3株式会社 代表取締役 須藤義人 氏

2ヶ月で完了した実装作業

とはいえ実際の開発作業では、いくつかの課題をクリアしなければなりませんでした。例えば、Store360 Insightのバックエンド開発では、様々なセンサーから取得されたデータを集約しながら解析し、店舗やスタッフの権限に応じて表示するという高度な情報処理を行います。ましてや今回は、データ分析用のBIツールを組み込むため、緻密なAPI開発が求められました。また、いかに優れた機能を持っていても、ユーザーにとって使いやすくわかりやすいインターフェースにしなければ、小売業界の改革を進めていくのは困難になります。

しかし島田さんが率いるプロジェクトチームは、ビジネスフローの自動化をノーコードで実現するOkta Workflowsを活用して、Store360 Insight、BIツール、Oktaとの連携を短期間で実現し、Oktaがデフォルトで提供するログイン画面やテンプレートを活用することで、注力すべきコア部分である業務ロジック設計・開発に集中しました。これにより、実装作業を2ヶ月という短期間で完了し、Store360 Insightを予定通り2022年4月からリリースすることに成功しました。開発をアシストしたTC3の須藤さんは、最大の要因は間違いなくOktaの顧客ID管理導入だったと強調します。「ユーザーインターフェースやログインのフローなど、いわゆるフロントエンドと認証認可のインテグレーションは、ゼロから開発すると大変になります。でもOktaにはすぐに使えるツールや画面が用意されていますので、スムーズにパッケージ化することができました。Oktaはバックエンドの開発に関しても、大きなアドバンテージになりましたね。今回組み込まれたバックエンドサービスは初めて扱うものだっただけに、細かな検証や確認が度々必要となりました。その点、Oktaはアーキテクチャが合理的で、我々エンジニアにもフレンドリーな開発環境を提供してくれますから、問題の洗い出しや修正作業が短期間でできました。」

Oktaを活用しながら小売業界のDXを推進

小売業界で最も豊富なノウハウを持っているのは、実際に店頭に立って常に接客するスタッフに他なりません。にもかかわらず従来は、データ分析に熟達した一部の専門家の意見のみが、経営判断に反映される傾向が顕著でした。島田さんによれば、Store360 Insightはこのような小売業界のカルチャーを変える触媒となります。

「Store360 Insightは、インターフェースのわかりやすさやシステムの使いやすさも特徴ですから、販売に携わるすべての方が簡単にデータを使って、意思決定に参加できるようになります。それと同時に、現場で得られた貴重なノウハウを個人の『勘』や『経験値』に留めておくのではなく、誰にでも理解できるロジックとして広く共有していけるようにもなります。Oktaを活用しながら企業の競争力を強化するリアル世界のDX推進のためのデータ経営基盤を創り出し、小売業界自体を『より開かれたもの』にする。それがStore360 Insightを開発した真の狙いでした」

小売業界を活性化し、日本を元気にしていくために

島田さんはStore360 Insightを未来に向けた通過点、より多くのデータや情報、企業、そして人々を結びつけていくためのプラットフォームとして位置付け、既に新たなビジョンを視野に入れています。「外資系企業は、クラウドを従業員向けのポータルサービスに積極的に活用していますし、セキュリティ意識も非常に高い。だからこそOktaが導入されているわけですが、将来的には海外も含めた多くの企業に、我が社のアプリケーションを利用してもらえるようにしていきたいですね」

これが実現すれば、『リアルから始まる、新しい感動とビジネスを創る(実店舗の価値を高め、小売業界を底上げしていく)』という同社のミッションは一層具現化され、ひいては日本の経済や社会全体を活性化する呼び水にもなっていくことが期待できます。   

TangerineはDXを推進するトップランナーの一人として、壮大な目標に向かって走り続けています。その意義ある挑戦をたしかな技術力で支えているのが、Oktaの顧客ID管理なのです。